
青い海と空に囲まれた、癒やしの島・宮古島。
観光地として華やかな光が当たる一方で、その光の裏側には、貧困、虐待、DV(ドメスティック・バイオレンス)といった、家庭や社会の中で行き場を失ってしまった人々の影も存在しています。
「制度の狭間にいる人たちを、誰一人取り残したくない」
そんな想いのもと、医療・福祉・生活支援という垣根を越え、地域のみんなを包み込む活動を続けているのが、NPO法人ひだまりです。 代表理事の勝連聖史さんを中心に、医師、助産師、保育士など、多職種のプロフェッショナルたちが連携。 ここは、傷ついた羽を休め、再び自分の空へと飛び立つための活力を養う、まさに「ひだまり」のような場所でした。
地域の中に灯る、あたたかな明かり

宮古島の中心部、少し路地を入ったところにその拠点はあります。 地域の福祉拠点となっている「多機能型福祉施設みやくるる」のなかにある「地域の保健室たね」、その扉を開けると、そこには肩の力を抜いて深呼吸できるような、柔らかな空気が流れていました。
NPO法人ひだまりの特徴は、なんといってもその「守備範囲の広さ」にあります。 通常の支援団体であれば、「医療だけ」「子どもだけ」と専門が分かれるところを、ここでは一人の人間が抱える複数の悩みに、丸ごと寄り添うことができるのです。そして、すべてに寄り添おうとする人がいました。
10代の母たちへ。「ちいきの保健室 たね」の挑戦

「予期せぬ妊娠をしてしまった」「頼れる大人が周りにいない」 そんな不安を抱える10代の妊産婦さんのために開かれているのが、宮古島市からの委託事業でもある「ちいきの保健室たね」です。
ここでは助産師などの専門スタッフが、妊娠期から出産、そして産後の育児までを切れ目なくサポートしています。 ただ相談に乗るだけではありません。彼女たちが自立した生活を送れるよう、就労支援や、時には自動車免許の取得にまで一緒に取り組むこともあるのだそう。 「あなたは一人じゃないよ」。そのメッセージは、若いお母さんたちの孤独を溶かし、新しい命を育む勇気に変えています。
身近な人からのお母さんと子どもを守る場所「DVシェルター」

さらに、代表の勝連さんがひだまりの活動のなかでも、多くの方に知ってもらって拡がりを作りたいと思っている活動が「DVシェルター」の存在です。
DV被害などにより緊急の避難が必要な方のためには、シェルター(避難所)を提供。 単に住居を貸すだけでなく、医師や行政と連携しながら、心身のケアから生活の再建までをトータルでサポートしています。
「逃げてもいい場所がある」「診てくれる先生がいる」。 その安心感は、困難な状況にある人々にとって、暗闇の中で見つけた一筋の希望の光そのものです。
地域のみんなで「ひだまり」をつくる
「支援する側・される側」という垣根を越えて、地域全体で子供たちや困っている人を支えたい。 NPO法人ひだまりの活動は、人と人の支え合い、純粋な魂のつながりで成り立っています。
つらい思いをする方に寄り添い、力になりたいという強い思いをもったスタッフが、24時間365日、オンコール体制をとり、常にあらゆる状況に迅速に対応をしています。それにより救われた命は少なくありません。
しかし、まだ制度化されていないところに目を向け人を支えようとするひだまりの活動は、なかなか全国に拡がっていきません。代表の勝連さんは「困っていてもどこに相談したらいいのかわからない人も多くいます。全国で拡がれば制度化され、制度化されれば、認知されて救える人の数も、救う側の人の数も増えるはず。」と未来を見据え大きな視座で熱い思いを語ってくれました。

宮古島という小さな社会で、誰にも言えない悩みを抱え暗闇にいる人に寄り添い、一緒に歩んでくれる人たちがいます。
宮古島の美しく大きな自然のような、やさしくどんな人でも包み込んでくれる場所、それがNPO法人ひだまりなのです。
施設基本情報
NPO法人ひだまり | 沖縄県 宮古島市
NPO法人ひだまり
- 所在地:沖縄県宮古島市平良字東仲宗根770番地5
- 代表理事:勝連 聖史
- 事業内容:
- ひだまり診療所(小児科・ショートステイ)
- ちいきの保健室たね(若年妊産婦支援)
- ちいき食堂みゃーくがに(こども食堂・居場所)
- DVシェルター(緊急避難支援)
活動の詳細やご寄付、ボランティアについては、こちらのWEBサイトをご覧ください。https://hidamari385.com/
取材:河原至誓

