大阪音楽大学2年の太田さん。春休みに2週間の福祉留学へ。

長崎県佐世保市の連携施設「宮共生会社会福祉法人 宮共生会(以下、宮共生会)」での経験をお聞きしました。

福祉留学参加のきっかけや動機を教えてください!

普段は音楽大学で地域創生、教育、福祉などの分野とアートをかけ合わせたイベントの企画をしています。福祉留学を見つけたのも、『アートと福祉』「『地域福祉』といったキーワードでインターンやイベントを探していたときでした。

地域で福祉がどんな位置付けなのかを体感することができればと思い、応募しました。

福祉留学先である佐世保市の印象はいかがでしたか?

特に印象的だったのは、『わらびの里』へ利用者さんらと共に送迎バスに乗っていたときのこと。
小学生の登校を見守る地域の方々が、バスに向かって手を振ってくれるのです。翌朝立っておられたのは別の方でしたが、その日もまた「いってらっしゃーい!」とバスに乗る私たちに手を振ってくれたのでした。

事業所で懸命に汗を流す利用者さんたちが、地域の方々に応援されていることを知って、「良い所だなぁ」と感じました。

もちろん、佐世保バーガーやちゃんぽん、海鮮も絶品で、美しい景色も満喫しました!

留学先施設である宮共生会で、印象に残った体験やエピソードがあれば教えてください!

生活介護事業所の『チームしおさい』で自分と同い年の女性の利用者さんと出会いました。「大きな栗の木の下で」が大好きで、私が歌い終わるとアンコール!と仕草や表情から伝えてくれますが、他の曲には興味を示されませんでした。

最初は「他にもレパートリーがあればより楽しいのでは」と考えましたが、次第に私もやり取り自体が楽しくなり、結局その曲だけを数えきれないほどリピートしました。

「してあげたい」「一緒にやってみたい」という気持ちと、利用者さんのご希望とのバランスについて、自分なりに考えるきっかけとなった体験でした。

福祉留学に行く前と後で変化したことはありますか?

留学前は福祉を特別なことだと思っていました。

実際にプロフェッショナルである職員さんの手捌きや心配りには決して真似できないことも多くあります。しかし留学中、ある職員さんと利用者さんの「私たち同い年なんだよねー!」という何気ないやりとりに、ハッとしました。

双方は一筋縄ではいかない人生を歩む同志であり、福祉はひとつのコミュニケーションの形に過ぎないと感じた瞬間でした。職員さんと利用者さんの関係性は決してケアする・されるということだけでは説明し切れない、と今は思います。

次に福祉留学へ行く人たちへメッセージをお願いします。

福祉の現場に何か与えてもらうことを期待するというよりも、自分が何を感じて考えるのか、そこにぜひワクワクを見い出してみてください。

福祉施設は全国至る所にありますが、留学先で出会う利用者さんや職員さんはそこにしかいない、たった一人です。目の前の人とのコミュニケーションを楽しんでほしいと思います。各地に福祉留学仲間が増えることほど嬉しいことはありません。ぜひ一歩踏み出してみてください。忘れられない出会いが待っていますよ!