医療ソーシャルワーカーとして働いてきた山口さん。1週間の福祉留学へ。
青森県八戸市の連携施設「株式会社 池田介護研究所(以下、池田介護研究所)」での経験をお聞きしました。
福祉留学参加のきっかけや動機を教えてください!
大学卒業から10年間、福祉の仕事に従事し、とてもこの仕事が好きで誇りをもって働いてきました。
しかし、組織の理不尽や人間関係に疲弊してしまい、仕事が好きかどうかわからなくなってしまいました。
誰も自分のことを知らない場所へ行ってみて、今後も福祉の仕事を続けるか、別の業界に挑戦するかどうか、自分と向き合いたいと思い、参加しました。
福祉留学先である八戸市の印象はいかがでしたか?
私は北海道の富良野市で暮らしているのですが、八戸市ではスーパーに南部せんべいコーナーがあり衝撃的でした。こんなに種類があるんだ!と思いました。
海のまちなので海鮮が美味しいです。山育ちの私は海鮮が得意ではないのですが、食わず嫌いしていたイカやタコ、お刺身が美味しかったです。
まさか自分が食べられるようになる日が来るとは思っていませんでした。八戸市に来なければ、美味しさに気付くことができなかったです。
八戸で出会った方々は、事業所の皆様もそうですが、朝市や喫茶店でも誰でも気さくに話しかけて下さいます。「寒いね~」など他愛もない挨拶ですが、南部弁の訛りもあり何とも心あたたまりました。
留学先施設である池田介護研究所で、印象に残った体験やエピソードがあれば教えてください!
まず私が良いなと思ったのは、室内がオシャレなことです。
家具や食器のセンスが良いです。特に、『ウェルネスサロン キャトルフィユ』の建物は小屋を活用しているのですがとても素敵です。福祉の事業所というより、ゆっくりくつろげるカフェのような空間づくりをされています。利用者さんもブローチを着けてきたり、ストールを巻いてきたり、オシャレして通所されていました。
また、あえて段差を解消していなかったり、少し低めのソファを使っているというところも、自然な形で運動量を増やせるため良いと思いました。
利用者さんへの職員さんの関わりも素敵でした。
「立たないで!」「座って!」という声かけや行動の制止をする職員さんは誰一人としていませんでした。立ち上がろうとする様子に気がつき、利用者さんが立ち上がった目的は何かを聞き、そっと見守る。当たり前のようですが、実は難しいことです。そういったことを自然にしていらっしゃいました。
かわりに、「◯◯お願いします!」「◯◯やって下さい・作って下さい」という言葉が飛び交っていました。利用者さんも「私バカだからそんなことできないよ~」と謙遜しながらも、頼まれるとまんざらでもないことが、表情に漏れだしており、「どれどれっ♪」と素早く立ち上がり、食器拭きや裁縫を手際よくこなされていました。
高齢で認知症になっても、思うように身体が動かせなくなっても、人は誰かに与えることに喜びを感じる気持ちは変わらないし、それを上手に引き出すように支援をされていました。
福祉留学に行く前と後で変化したことはありますか?
この仕事が好きだと改めて思い直すことができました。
「一生福祉で生きていく!」とまでは思いませんが(笑)、もう少し続けてみたいと思いました。
次に福祉留学へ行く人たちへメッセージをお願いします。
福祉留学は学生の参加が多いようです。
私は学生時代に資格を取る過程でいくつか施設へ実習へいきました。元々人と関わることが得意ではなく、緊張で思うように自分を発揮できず、利用者さんともうまく信頼関係を築けず、毎日悩んで過ごしました。
社会に出て、ある程度経験を積んでから参加することで、学生のときには気付けなかったことに気付けたり、気持ちに余裕ができて、楽しく体験できます。
働いていると、「他のところはどんなことしているんだろう?」と気になりつつも、目の前の仕事に追われ、実習に行くなんて機会はほぼないと思います。
日々の忙しさに疲れた時や、仕事の楽しみがわからなくなってしまったときに福祉留学に参加することで、狭くなった視野が広がって、もう一度、仕事が好きだという気持ちを思い出すことができます。
大人にこそオススメしたいです。